借地・借家の立ち退き交渉

借地・借家の立ち退き交渉:借主の権利を守るために

通常の地代・家賃をきちんと支払っているのにも関わらず、地主や大家から立退きを求められてしまい、困っていませんか?
借地や借家の立ち退きを求められた場合、多くの借主は不安や戸惑いを感じるでしょう。しかし、借主の権利は法律によって保護されており、一方的な立ち退き要求には必ずしも応じる必要はありません。事案毎に問題点が異なってきますので、基本的には、生活の本拠を奪われないようになるべく早めに弁護士に相談をした方が良いと思われます。以下、(地代・家賃の不払いがない事案における)立ち退き要求における法的な問題点と、弁護士に相談することのメリットについて解説します。

立ち退き要求の法的問題点

正当事由

借地借家法では、借主の権利が手厚く保護されています。賃貸人が一方的に契約を解除することは容易ではなく、いわゆる立ち退きを要求する場合には「正当事由」が必要となります。
以下、借地借家法における借地と借家の解約の正当事由について、それぞれ解説いたします。

借地の場合の正当事由

借地契約の場合、賃貸人(地主)が契約を解約し、土地の明け渡しを求めるためには、借地借家法第6条に基づく正当事由が必要となります。
正当事由の主な判断要素は以下の通りです。

  • (ア) 土地の使用を必要とする事情
    • 借地人(借主)側:現に借地上に建物を所有し、その土地を使用していること自体が考慮されます。
    • 賃貸人(地主)側:自ら使用する建物を建築する場合や、これと同視できる経済的必要性がある場合に限られます。
  • (イ) 借地に関する従前の経緯
    • 借地権設定の経緯、借地の経過期間、権利金や保証金の授受状況、地代改定の経緯などが考慮要素となります。
  • (ウ) 土地の利用状況
    • 土地上の建物の状況、借地の経過期間、周辺地域における土地の標準的利用との差異などが考慮要素となります。
  • (エ) 財産上の給付
    • 立退料の提供、代替不動産の提供などが考慮要素となります。
借家の場合の正当事由

借家契約の場合、賃貸人(大家)が契約を解約ないしは契約更新を拒絶し、建物の明け渡しを求めるためには、借地借家法第28条に基づく正当事由が必要となります。
正当事由の主な判断要素は以下の通りです。

  • (ア) 建物の使用を必要とする事情
    • 賃貸人と賃借人双方の建物使用の必要性を比較衡量します。
  • (イ) 建物の賃貸借に関する従前の経過
    • 契約締結の経緯・事情、賃借人の契約上の債務履行状況、賃料の額及び改定の状況、権利金等の一時金の授受状況、借家の経過期間などが考慮されます。
  • (ウ) 建物の利用状況
    • 賃借人にとっての必要性、建物の種類・用途に則った利用がなされているか、用法違反の有無などが考慮されます。
  • (エ) 建物の現況
    • 建物の経過年数及び残存耐用年数、腐朽損傷の程度、大修繕の必要性、当該地域における標準的使用に適った建物であるかなどが考慮されます。
  • (オ) 財産上の給付
    • 立退料の提供、代替不動産の提供などが考慮されます。
両者に共通する重要なポイント

上記で細かく考慮要素等を挙げましたが、ポイントとしては、単に賃貸人側の都合や土地・建物の有効活用を図るためというだけでは、正当事由と認められるとは限らないことです。
正当事由の判断は、貸主側、借主側の要素を総合的に考慮して行われますので、一方当事者の側の事情だけで結論が決まってしまうというものではありません。
また立退料の提供は、正当事由を補完する要素の一つという位置付けとなります。金額は物件の状況や当事者の事情により異なりますが、借主の立場としては、適切な立退料を求めていくということは十分に考えるべきポイントとなります。

弁護士に相談するメリット

上記のように立退きに関する法的問題点は複雑であり、多くの点を考慮して方針を定めていく必要があるため、弁護士に相談することで多くのメリットがあります。

  • (1) 法的知識に基づく合理的な交渉
    • 弁護士は法令に精通しており、合理的な交渉を行えます。
  • (2) 適切な立退料の算定
    • 経験豊富な弁護士は、相場を踏まえた説得力のある立退料を提案できます。
  • (3) 裁判所での手続もサポート可能
    • 交渉が不調に終わり、調停や訴訟といった場面に仮になったとしても、継続して手続を弁護士に任せることができます。
  • (4) 借主の事情に寄り添った対応
    • 弁護士は借主の悩みをしっかり聴き、希望に沿った解決策を模索します。

まとめ

借地・借家いずれの場合も、正当事由の判断は複雑で、個々の事案ごとに詳細な検討が必要となります。そのため、借主にとって不安な経験となりがちです。
 
弁護士に相談することで、法的知識に基づいた冷静な交渉が可能となり、適切な立ち退き料の算定や、万が一の裁判手続にも対応できます。借主の立場を守りつつ、円満な解決を目指すためにも、立ち退き要求を受けた際は早めに弁護士に相談することをおすすめします。
 
川崎ひかり法律事務所では、借地・借家の立ち退き問題に関する相談を受け付けております。お悩みの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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