契約不適合(瑕疵)(解除、損害賠償)
契約不適合責任が発生するケースの具体例
契約不適合責任とは、売買契約において、引き渡された不動産が契約内容に適合しない場合に売主が負う責任のことを指します。
これは、従来の「瑕疵担保責任」に代わるもので、2020年の民法改正により導入されました。不動産の場合、以下のようなケースで契約不適合責任が発生することがあります。
物理的な欠陥がある場合
例えば、建物の基礎にひび割れがあり、地震のたびに建物に損傷が生じる可能性がある場合や、屋根や壁に漏水が発生する場合です。こうした物理的欠陥は、契約時に記載されている「引き渡すべき状態」に適合しないため、契約不適合責任の対象となります。
法的な制約がある場合
例えば、引き渡された不動産が建築基準法に違反している場合や、敷地の一部が他人の所有地であったり、違法な増築が施されていたりする場合などです。契約時に「法的に問題がない」とされていたにもかかわらず実際には制約があった場合、契約不適合責任が発生します。
設備の不具合や使用不能な状態
例えば、給湯器やエアコンが作動しない、排水管が詰まっているなど、生活に必要な設備が正常に機能しない場合です。このような不具合が引き渡し後に発覚し、買主が契約時にその不具合を認識していなかった場合も、契約不適合責任が問われます。
契約解除できる場合について
契約不適合責任に基づいて契約を解除することができるのは、原則として、以下の条件を満たす場合です。
契約内容に重大な違反がある場合
不動産の不適合が買主にとって重大な影響を及ぼし、契約を維持することが困難な場合には、契約を解除することが認められます。たとえば、建物の構造に致命的な欠陥があり、安全性に重大な問題が生じている場合や、土地の一部が他人の所有地であることが発覚した場合などです。
売主に修補の対応を求めたが応じない場合
不適合が発覚した場合、まず買主は売主に対し、修補や代替物の引き渡しを請求することができます。しかし、売主が修補に応じない場合や対応が不十分である場合には、契約の目的が果たせないと判断され、契約解除が可能です。
契約解除の意思表示を適切な期間内に行う場合
契約不適合が発見された場合、買主は速やかに売主に通知し、その後も合理的な期間内に契約解除の意思表示を行う必要があります。通知が遅れると解除が認められない場合があるため、速やかな対応が重要です。
損害賠償請求ができる場合とその内容について
契約不適合により損害が生じた場合、買主は損害賠償請求を行うことができます。具体的な請求の内容については以下のようになります。
修理費用
契約不適合の状態を是正するために要した修理費用が請求可能です。たとえば、雨漏りがある場合には、その修理費用を売主に請求できます。
代替費用
不適合によって使用不能な状態が続いた場合、仮住まいにかかる費用や、代わりに利用する設備の購入費用なども損害賠償の対象となります。
逸失利益
買主がその不動産を事業目的で購入していた場合、不適合により事業運営ができなかった期間の損害や売上の減少についても、損害賠償請求が認められることがあります。
最後に
不動産売買で契約不適合が問題となる事案は、これまで説明したとおり複雑で専門的な判断が必要になることが多くあります。そこで、このような不動産売買に関する契約不適合問題でお困りの方は、是非、一度、川崎ひかり法律事務所にご相談ください。