休眠担保権の抹消
はじめに
このようなことでお困りではないでしょうか?
- ・不動産を売却しようとしたら、昔、完済した抵当権の登記が抹消されておらず、抵当権者と連絡がつかない。
- ・自宅不動産に40年前に借りた借金の抵当権が設定されているが、既に借金については時効で消滅しているので、貸主に抵当権を抹消してもらいたいが、貸主が他界してしまった。
これらの事例のように、抵当権等の被担保債権が既に完済していたり、時効消滅しているにもかかわらず、長年にわたって、登記簿上、担保権が設定されたままになっていたりする古い担保権のことを休眠担保権といいます。
このような休眠担保権が設定されていると、いざ不動産を売却しようとしても、ほとんどの場合には決済日までに不動産に設定された担保権を抹消しなければならないという条項が付けられているため、売却ができないことになります。
そのため、売却を検討している不動産に休眠担保権が付いている場合には、これを抹消することが必要になります。
それでは、休眠担保権の中でも、実務上問題となりやすい休眠(根)抵当権の抹消のための手続についてご説明します。
休眠(根)抵当権抹消のための手続
手続としては、以下の方法が考えられますが、原則的には①、②の方法になります。③~⑥は抵当権者の所在が分からない場合の例外的な方法になります。
- ① 抵当権者と共同で申請する方法
- ② 訴訟を提起して判決を取得した上で単独で申請する方法
- ③ 除権判決を得て、単独申請を行う方法
- ④ 弁済証書などを用いて、単独申請を行う方法
- ⑤ 供託により、単独申請を行う方法
- ⑥ 解散した法人の清算人が所在不明の場合において、単独申請する方法
①抵当権者との共同申請による方法について
抵当権者が自然人(個人)の場合には、抵当権者の所在調査をした上で、発見できた場合には、抹消に必要な書類を発行することをお願いすることになります。既に亡くなっているような場合には、相続人調査をしてその全員に協力をお願いして抹消に必要な書類を発行してもらうことになります。
一方で、抵当権者が法人の場合には、法人の登記簿謄本から代表者や清算人の所在調査を行って、協力をお願いすることになります。
②訴訟による抹消手続による単独申請の方法について
抹消登記の申請は、登記権利者と義務者が共同で申請するのが原則ですが、登記義務者に対して抹消登記手続をするように命じる確定判決を取得すれば、確定判決に基づいて、登記権利者が単独で抹消登記申請を行うことができます。
したがって、上記3の共同申請に協力してもらえない場合には、訴訟による確定判決の取得を検討することになります。
最後に
以上のとおり、休眠(根)抵当権の抹消手続については、抵当権者や相続人の所在調査や訴訟提起が必要なり、所在が判明しても抵当権者やその相続人と協議が必要となる場合があります。また、それらの者の協力が得られない場合や所在不明となった場合に訴訟提起や他の手段を用いることを検討しなければなりませんので、とりあえずは不動産関係に詳しい川崎ひかり法律事務所に相談することがお勧めです。