不動産の相続
相続人が一人であれば、その方が単独で相続するので簡単ですが、相続人が複数いる場合には、相続人間でその不動産をどのように相続するかについて協議が必須となります。これがいわゆる「遺産分割協議」といわれるものです。また、不動産が高額で評価されるのであれば相続税が発生する可能性も高まるので注意が必要です。ここでは、不動産が絡んだ遺産分割と収益不動産固有の問題について簡単にご説明します。
遺産分割協議の流れ
一般的に、遺産分割協議は、相続人の範囲、遺言書の有無、遺産の範囲を確認して、その後に遺産を評価して、遺産の総額を決めます。その後、相続人一人あたりの取得額を決めていきます。そして、一人あたりの取得が決まった後で、その取得額に見合う遺産をどのように分割(分配)していくのかを協議していくことになります。ここで特に問題になるのが、不動産の評価と分割方法です。
不動産の評価
不動産は預金や株式などとは異なり、当該不動産にどれくらいの価値があるのかはすぐには分かりません。例えば、固定資産税評価、路線価、時価といった評価方法があり、どの評価方法をとるかで不動産の評価額が変わってきます。
その不動産を相続したい人からすれば安く評価したい一方、そうではない人からすれば高く評価したいというように、どの立場に立つかでも取るべき評価方法は変わってきます。そのため、調停や裁判になった場合、不動産の評価が特に重要な争点になることが多いです。
分割方法
遺産の分割方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割があります。
現物分割とは、財産の形状や性質を変更せずに分割することをいいます。これが遺産分割の原則的な方法といわれています。例えば、同価値の不動産AとBがあった場合に、Aを兄が、Bを弟が取得するというような場合です。
- 代償分割とは、特別な事情がある場合に、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させる代わりに、超える部分に相当する金額を他の相続人に金銭等で支払うことをいいます。
- 換価分割とは、遺産を売却等でお金に換えた後に、代金を分配する方法をいいます。
- 共有分割とは、遺産の一部又は全部を相続分に応じて共有状態にする方法をいいます。
例えば、ある1筆の土地について兄弟で2分の1ずつというような形で分配し、そのような登記手続きを行うことになります。もっとも、これでは単独で売却することもできないため、問題を先延ばしにする形になってしまいます。そのため、あまり好まれないことが多いです。相続人間の共有となるので、その後、共有不動産の占有・管理・収益の帰属などといった問題で紛争になり、共有物分割の問題に発展していくケースもあります。
不動産から生じる収益・管理費用
遺産である不動産からは地代・家賃などの収益が日々発生しています。また、固定資産税などの不動産の維持に必要な費用も日々発生しています。遺産分割協議が完了するまでの間、これらの収益や費用の支出をどうするのかは喫緊の課題となります。相続人間で、協議完了までの管理方法が合意できれば良いのですが、合意できない場合どう対処するのか?相続発生後の遺産の収益は最終的に相続人の誰が取得するのか?
などと様々な問題が生じます。
このように、収益不動産の相続には複雑に絡まりあった問題が生じることが多いので、相続開始後、できる限り早い段階で、不動産の相続問題に強い川崎ひかり法律事務所にお気軽にご相談下さい。