自筆証書遺言と検認
遺言自筆証書遺言は、公正証書遺言よりもお手軽に作成することができますが、デメリットもあります。
その1つとして、遺言書の紛失・汚損や変造・偽造のリスクがよく挙げられますが、今回はもう1つのデメリットである遺言書の検認手続について説明します。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要です。
検認は、遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人が裁判所に請求して行います。
これは義務でもあります。
申し立てる際には遺言者と相続人全員の戸籍謄本が必要で、人数にもよりますが、これらの取得にそれなりの時間(私の経験上1~3か月程度)と手間と費用がかかります。
また、検認の申立てがなされると、裁判所から相続人に対して検認を行う日が通知されます。
相続人は検認期日に出席することができます。
私の経験上、申立てから検認期日まで1か月程度かかることが多いようです。
検認手続が無事に終わると、裁判所の検認済証明書が遺言書に付けられます。
遺言書を使って預金の払戻手続を行うときなどには、検認済証明書が遺言書についていることが求められます。
このように面倒で時間もかかる検認手続ですが、公正証書遺言は検認が不要です。
また、自筆証書遺言でも、近時始まった遺言書保管制度を利用する場合にも検認が不要になります。