依頼者Xさんの母親Aが亡くなったため、その相続人である依頼者Xさん(二男)は、他の相続人である長男、長女との間で遺産分割に関する話合いを行っていました。
相続財産としては、不動産(土地・建物)や預貯金(数百万円)が主なものでした。
そのため、通常であれば、上記相続財産を、各自が3分の1ずつの割合で相続する権利があります。
ところが、遺産分割協議の中で、長男が、母親Aの遺言書が存在しているとして、上記財産のうち、ほとんどが自分に相続権があるとの主張をされたため、依頼者Xさんは、どのように対応したらよいかと悩み、ご相談に来られました。
遺言書の有効性が問題となり、遺言書の効力を否定した内容で遺産分割調停が成立した事例
- 性別:男性
- 依頼者情報:年代:50代 続柄:二男
遺言書が、真に母親Aの意思に基づき、有効なものであれば、それに従うが、そうでない場合には、できる限り公平な遺産分割をしたいというご希望でした。
弁護士は、協議の途中から依頼者Xさんの代理人となり、長男に対し、遺言書の内容を確認したいと申し入れたところ、長男が頑なにこれを拒んだため、このままでは公平な遺産分割は実現できないと考えました。
そこで、弁護士は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることとしました。その調停において、裁判所を通じて、改めて遺言書の開示を求めたところ、ようやく遺言書の開示を受けることができました。遺言書は、手書きによる「自筆証書遺言」でした。
その遺言書は、ぱっと見ただけでは分かりませんでしたが、弁護士が精査したところ、その筆跡が、亡母Aが生前に書いた別の書面(手紙など)とは相当に違っており、本人が自書していないという疑いが生じました(※自筆証書遺言は、本文を自書しなければ無効となります。)。
そこで、弁護士が調停でそのことを指摘すると、長男は、「自分が代筆した」などと説明し、亡母Aが自書したものでないことを認めました(弁護士は、遺言書の偽造ではないかと感じましたが、いずれにせよ、この遺言書の効力を否定することに成功しました)。これにより、長男の遺言書に基づく主張は排斥され、結果的に、本来の相続分に沿った形での遺産分割を実現することができました。
上記のケースでは、遺言書が作成された真の経緯は不明でしたが、遺言書が、その有効性の如何によって、遺産分割の結果に大きく影響を与えるものであるということは、間違いありません。
また、上記のケースとは別に、将来、遺産分割で揉めないように、あらかじめ正確な遺言書を作成しておくということも、非常に有意義なことといえます。
相続問題に強い川崎ひかり法律事務所では、生前の遺言書作成や遺産分割協議など、相続発生の前後を通じて、お力になれる場面が多いかと思います。是非、お気軽にご相談いただければと思います。
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