相続法改正:特別受益の持戻し免除の意思の推定
特別受益相続法改正平成30年の民法改正により、相続や遺言に関するルールがいくつか変わりました。
その中の1つとして、今回は長年連れそった夫婦間の持戻し免除の意思の推定を取り上げます。
ある人が亡くなったとき、その人(被相続人)の遺産を誰がどのように取得すべきかに関して、民法は予め法定相続分を定めています。
例えば、相続人が被相続人の妻と子2人であるときには、妻の法定相続分は2分の1で子の法定相続分は4分の1ずつです。
しかし、複数の相続人の中に、遺贈や一定の要件を充たす贈与を受けた人がいる場合には、その人の相続分が減らされる制度があります(民法903条1項)。
すなわち「特別受益の持戻し」という制度です。
この特別受益の持戻しについては、被相続人が「異なった意思を表示したときは、その意思に従う」とされていますが(民法903条3項)、被相続人が亡くなった後にそのことを証明するのが難しい場合もあります。
改正民法ではこの点に関して、「婚姻期間が20年以上の夫婦」で行われた「居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈や贈与をしたとき」は、その日相続人が民法903条1項の規定を適用しない旨の意思表示をしたものと推定するとされました。
「推定」なので、反証がない限り意思表示をしたものとされることになります。
もともと配偶者間での生前贈与については、相続税での非課税枠が設けられていましたが、民法でもサポートされることになりました。