■配偶者居住権について
相続法改正配偶者居住権1 はじめに
民法の相続法が大幅に改正されるなどして,平成31年1月13日から段階的に施行されていますが,大きな目玉は,「配偶者居住権」(令和2年4月1日施行)の新設です。
2 制度創設の背景
従前は,遺産に,被相続人と配偶者が居住する不動産及び預金があるような場合,相続開始後も住み続ける配偶者は,預金がもらえなかったり,他の相続人と賃貸借契約を締結する必要があったりしました。
しかし,これでは,配偶者の居住権は保護されない可能性があり,問題であると指摘されていました。
3 配偶者居住権の新設
そこで,改正民法は,配偶者居住権という権利を新設しました。
「配偶者居住権」とは,被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた遺産である不動産に無償で居住することができる権利のことをいいます。
これにより,被相続人の配偶者は,居住権を確保することができるようになり,他の遺産を取得しやすくなりました。
4 配偶者居住権の発生要件
配偶者居住権が発生するための要件は以下のとおりです。
- ①配偶者が,相続開始時に,被相続人の遺産である不動産に居住していたこと
- ②当該不動産が,被相続人の単独名義であること
- ③配偶者居住権の設定行為ないし取得行為があること
このように,配偶者居住権は当然に発生するものではありません。配偶者居住権を発生させるためには,事前の準備が必要です。
5 配偶者居住権の設定・取得行為
配偶者居住権を設定ないし取得する行為には以下のものがあります。
- ①遺産分割
- ②遺贈
- ③死因贈与
- ④審判
これらの行為は,いずれも法律行為となります。法律の専門家の助言は必須といえるでしょう。
6 ご相談・ご依頼は当事務所まで
当事務所は,配偶者居住権だけでなく,相続全般に幅広く対応しています。相続でお困りの方,予め,相続に備えたいという方は,お気軽に川崎ひかり法律事務所にご相談・ご依頼下さい。
*本記事は公開日時点の法令に従って作成しております。