相続法改正:自筆証書遺言の方式の緩和
相続法改正遺言平成30年の民法改正により、相続や遺言に関するルールがいくつか変わりました。
その中の1つとして、今回は自筆証書遺言の方式の緩和を取り上げます。
遺言は、特殊な例外を除いて、遺言者が自ら筆をとって作成する自筆証書か、公証人が作成する公正証書か、秘密証書かのいずれかによってしなければならないとされており(民法967条)、遺言の多くは自筆証書か公正証書によって行われています。
自筆証書遺言は、遺言者が1人で作ることができるため、お手軽なイメージがありますが、遺言者が全文、日付及び氏名を自書して押印しないといけません(民法968条1項)。
また、遺言者死亡後に、家庭裁判所で検認という手続が必要になります(民法1004条1項)。
今回の改正では、自筆証書遺言のうち、いわゆる財産目録については自書することを要しないことになりました(民法968条2項)。
これにより例えば、代筆でもよいですし、ワープロで打って印刷したものでもよいですし、通帳や不動産登記事項証明書の写しを添付してもよいことになりました。
ただし、各ページへの署名押印が必要なので注意が必要です。
今回の改正によって、自筆証書の方式が若干緩和され、より使いやすくはなりましたが、方式に厳格な定めがあることに変わりはありません。
また、遺言はその内容(表現)がとても重要です。
さらに、遺言書が問題となるのは遺言者本人が亡くなった後になるので、自分で問題を解決することができません。
したがって、ケースに応じて、弁護士によるアドバイスを受けたり文面を作ってもらうことも検討してください。