遺留分を請求したい
1 はじめに
二男の方から、「父が亡くなったのですが、全財産を長男に全部相続させるという遺言書が作成されていました。
母と私(二男)は、一切父の遺産はもらえないのでしょうか?」といった相談がありました。
このような場合、二男とその母親は、長男に対し、「遺留分」を請求することが考えられます。
「遺留分って、何?」と思ってしまった方は、遺留分の基礎的な知識を解説した「遺留分侵害額請求」の記事をご参照ください。
ここでは、具体的な遺留分の請求手続について説明します。
2 具体的な請求方法
(1)内容証明郵便の送付
遺留分侵害額請求をする場合,至急、内容証明郵便で,遺留分侵害額請求の権利行使する旨を受遺者又は受贈者に伝えましょう。
遺留分侵害額請求には時間的な制限がある(遺留分権利者が,相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間,又は相続開始の時から10年間)ため,後の紛争予防という意味で,権利行使の時期を明確にしておく必要があります。
内容証明郵便は、どんな内容の文書をいつ相手方が受領したのかが分かるようになっているので、内容証明郵便を送付すれば遺留分の権利行使の時期を明確にすることができます。
(2)遺留分侵害額の協議
その後,相手方と具体的な交渉を進めることになります。
遺留分の算定基礎となる財産の範囲や評価額、特別受益の有無・評価額など、いろいろ交渉で決めなければならないことがあります。
(3)調停
当事者間の話合いで解決できない場合は,家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を起こすことになります。
調停では,1か月から2か月に一度の頻度で,双方から申立てに至った事情やそれぞれの意向を話合いながら,必要な資料を提出し,双方が納得できる解決方法を話合うことになります。
なお、難しい法的な解釈が問題となっているなど調停でまとまらないことが明らかな場合は、調停をすっ飛ばして、いきなり訴訟提起することもあります。
遺留分は法的に難しい論点が多いので、弁護士によっては、調停を経ることの方が少ないぐらいです。
(4)訴訟
調停での話合いがまとまらずに,調停が終了した場合または、調停では話し合いがまとまらないことが明らかな場合には,地方裁判所又は簡易裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起することになります。
遺留分の請求は、複雑で難しい問題が多いので、お一人で解決することは難しいケースが多いです。
遺留分を請求したい場合は、至急、当事務所にご相談下さい。