その他

学校生活のトラブルについて

1 学校を運営されている方へ

 学校生活においては、いじめ、校内暴力、少年事件、援助交際、裏サイトやプロフなど学生特有のネットトラブルなどの問題が生じ得ます。学校関係者としては校則等による規律、学生に対する指導、保護者の啓発などにより予防措置をとるほか、事後のより良い対応が求められます。
 当事務所では、このようなトラブルの予防法務や事後的対応などについて相談業務、顧問業務を行っております。

2 学生・保護者の方へ

  上記1に記載したいじめ、少年事件、援助交際などのトラブルは、当然、学生本人や保護者の方にとっても大きな問題になります。特に少年事件については、当事務所の弁護士が被疑者段階の弁護人、審判段階の付添人としてお力添えができます。
 これらのトラブル以外にも、退学・停学等の処分の妥当性の問題、学校事故の被害者になった場合、学校側との交渉、国又は地方公共団体を相手方とする国家賠償請求訴訟の提起が考えられます。お気軽に相談ください。

 

(弁護士費用)
一般民事事件に準じます。

強制執行

1  公正証書を作ったのに、お金を払ってくれない、判決を取ったのに、貸家から立ち退いてくれない・・・このような場合にとる手続が「強制執行」です。強制執行とは債務名義がある場合に、それに基づいて強制的にその内容を実現する手続です。我が国では、自力救済は禁止されていますから、債務名義があるからと言って、自分の力でお金をとったり、追い出したりすることはできないのです。

2 「債務名義」とは強制執行の根拠となるものです。代表的なものとしては、判決、公正証書、調停調書等があります。

3  では、具体的に強制執行とはどのような手続でしょうか?例えば、お金を払えという権利の場合は、相手方の財産を差押え、それをお金に換えて回収します。 不動産を差し押さえれば競売となりますし、給料を差し押さえれば、相手方の会社に直接支払ってもらうことになります。また、建物から出て行けという権利の場合、裁判所にいる執行官という人と一緒に現場に行って、強制的に荷物を運び出すことになります。

4 当事務所では、強制執行の業務も行っていますので、債務名義があるけれども相手方が応じてくれない、というような場合には、当事務所までご相談下さい。また、まだ債務名義を取っていないという方は、債務名義を取得するところから一緒に始めましょう。

見守り契約・財産管理契約

1 はじめに

 将来、判断能力が不十分になった場合の備えとしては、任意後見契約があります。
 もっとも、任意後見契約は、実際に判断能力の低下が生じ、後見監督人が選任されるまでは契約の効力が発生しないというものです。
 したがって、現時点では判断能力には何の問題も生じていないけれども、健康上の問題等により、金融機関における日常の預貯金の取引をはじめとする契約等の法律行為をすることに不安を覚えておられる方にとっては、任意後見契約だけではその保護は必ずしも十分とはいえません。
 また、任意後見契約締結後、実際に判断能力に問題が生じたとしても、それが看過されてしまえば契約締結の意義は減殺されてしまいますから、任意契約後見受任者と本人との間に継続的な関係を構築し、任意後見開始の時期を失することのないような体制を整えておく必要があるといえます。
 そのような、任意後見契約の効力が発生するまでの間をカバーするものとして、見守り契約を締結する方法と、財産管理等委任契約を締結する方法とがあります。

2 見守り契約

 見守り契約とは、任意後見が実際に開始するまでの間も、任意後見受任者と本人との間に一定の関係を構築する仕組みを整えおくために締結される契約です。
 契約の内容としては、定期的な身上の確認(例えば電話で本人の心身の状態や生活の状況の確認をしたり、実際に本人の居住場所を訪問して、状況を直接確認するなど)や継続的な法律相談をすることなどが考えられます。

3 財産管理等委任契約

 財産管理等委任契約とは、療養看護や自己の財産管理に関する事務についての代理権を付与する委任契約です。
 任意後見契約と異なり、これは通常の委任契約ですから、契約成立の時点から効力が発生します。
 判断能力が十分な段階において、療養看護や財産管理に関する事務を委託し、代理権を付与しておけば、任意後見契約の効力が生じる以前においても、取引社会において保護を得ることができます。
 なお、このような財産管理等委任契約は、自らの財産の管理に関する事務という大変重要な事柄をまかせるわけですから、信頼できる第三者を選ぶことが必要となります。
 この点、弁護士は、社会正義の実現を使命とし(弁護士法1条1項)、弁護士職務基本規定等によりその職務の遂行にあたって高度の倫理性が求められる職業ですから、このような事柄をまかせるには最適です。

弁護士費用
通常任意後見契約と合わせての契約となりますが,その分を合わせて月額3万(税込3万3000円)〜7万円程度

公益法人

1 公益法人制度改革

 平成20年12月1日から、いわゆる公益三法が施行され、公益法人制度改革が行われました。改正点は様々ですが、主要な変更点は、①公益認定制度の導入、②理事等の責任の強化です。

2 公益認定制度

  公益法人制度改革により、社団法人・財団法人は登記のみで設立可能となりましたが、公益社団法人・公益財団法人となるためには、公益認定等委員会(都道府県では3人~5人の合議制の機関)による公益認定を受けなければなりません。また、現在の公益法人は、平成25年11月30日までに公益認定を受けるか、一般社団法人・一般財団法人への移行許可を受けないと、解散したものとみなされます。
 当事務所では、公益認定のための手続のお手伝いもしております。

3 理事等の責任の強化

  公益法人制度改革に伴い、理事等の責任が強化されました。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律は、理事等の責任を会社法における取締役等の責任と同 等のものとするとともに、会社法上の株主代表訴訟にあたる責任追及の訴えを新設しました。従って、今後、理事等に対する責任追及は厳しくなるものと予想さ れ、公益法人は、より一層の業務の適正化が求められるようになります。当事務所では、顧問等の業務を通じて、紛争予防に取り組んでいきたいと考えておりま す。

公正証書

1 公正証書とは何か

 公正証書とは、公証人が公証人法に基づき、権利や義務に関する事実について作成した文書のことをいいます。

 公正証書は、公証人が作成する公の文書です。契約書や和解書、遺言書など、日常生活において様々な法的な書面を作成する機会がありますが、これらの書面を「公正証書」という公の文書として作成することで、様々なメリットを享受できる場合があります。
 例えば、金銭の支払いを約束する場合、義務者が約束どおり金銭を支払わなかった場合には、民事訴訟を提起し、判決等を獲得しなければ、義務者の財産を差し押さえる強制執行の手続きはとれません。しかし、この金銭の支払い約束を強制執行認諾文言を付した上で公正証書にて文書化しておけば、民事訴訟を提起して判決等を得ることなく、直ちに強制執行の手続きをとることができます。夫婦が協議離婚をする際、養育費の定めや財産分与の定めなど、金銭的な給付も併せて合意することが多くありますが、この際にも、離婚給付契約公正証書として公正証書が利用されることが多くあります。
 また、遺言書も公正証書で作成されることが多くあります。遺言書をご自身で書かれた場合、遺言書どおりの内容を実現するためには、家庭裁判所で検認という手続きを経なければいけませんが、遺言書を公正証書で作成した場合、この検認という煩わしい手続きを経ることなく遺言書の内容を実現できます。また、公正証書遺言の原本は、公証役場が一定期間保管してくれるので、紛失等の心配も軽減できます。

2 公正証書の作成方法

 公正証書を作成する際には、通常、公正証書の原案を作成し、公証人に作成を依頼します。また、遺言書、契約書など、文書の種類によって、必要な書類があります。
 公正証書の内容は、法的な理解なくして作成できませんので、公正証書作成をお考えの折りには、ぜひ弁護士にご相談下さい。当事務所は、公正証書の原案を作成し、実際に公正証書を作成するお手伝いもさせて頂いております。

(弁護士費用)
5万円(税込5万5000円)~ (標準10万円(税込11万円))

相続財産管理制度

 例えば、亡くなった人(以下、「被相続人」といいます。)にお金を貸していたけど相続人がいない場合(相続人全員が相続放棄した場合も含む)、被相続人に財産が全くないのであれば諦めざるを得ませんが、一定の財産を残して亡くなったのであれば、残った財産から貸金を回収したいところです。しかし、法律上、被相続人の財産を勝手に処分することはできません。
 また、被相続人と同居して生計を同一にしていたり、被相続人の療養看護をしていた場合など被相続人と特別の関係(以下、「特別縁故者」と言います。)があった場合には、相続人ではなかったとしても、法律上、被告相続人の残した財産の分与を求めることも可能です。
そのような場合に備えて設けられているのが相続財産管理制度です(民法951条~959条)。
 相続財産管理制度は、相続財産管理人を選任して財産管理を行わせることによって、財産の権利主体の利益保護のみならず、利害関係人や国の経済上の利益を保護するための制度であり、先程の具体例のように利害関係を有する人や検察官の請求によって相続財産管理人が選任されます。
 申立のためには、①申立書、②申立人の戸籍謄本、③被相続人の除籍(戸籍)謄本、改製原戸籍謄本(出生から死亡まで連続しているもの)、住民票の写し、④被相続人の父母の戸籍(除籍)謄本、改製原戸籍謄本、⑤相続人全員の相続放棄受理証明書(相続人が相続放棄している場合)、⑥利害関係を証する資料、⑦相続人身分関係図、⑧財産目録などの書類が必要となります。
 そして、相続財産管理人選任後には、相続財産管理人への債権の届出や、特別縁故者であることの説明なども必要となります。
 これらを全てご自分で行うのは大変ですし、不安を感じる場合もあると思います。当事務所では申立書の作成を含め、その後の手続きについてのご依頼も承っております。お気軽にご相談下さい。

(弁護士費用)
相続財産管理人選任申立て 30万円(税込33万円)

中小企業の法律問題

「自分が経営する会社を子に継がせたい。」「親族以外の者に会社を譲りたい。」「会社ごと売却したい。」など中小企業における事業承継問題は、近年特にクローズアップされてきています。特に、日本の高度経済成長を支えて来た中小企業が多く存在する京浜工業地帯周辺(当事務所の属する川崎市はまさに京浜工業地帯のど真ん中です。)では、経営者の高齢化に伴う後継者不在問題や中国の台頭による国内の需要不足に起因する不景気などによって中小企業の事業承継問題はますます深刻化しています。
 中小企業の事業承継における主な問題としては、民法における相続制度(特に遺留分の制度)や現行の相続税制などに起因する、(1)企業後継者以外の者への事業資産の拡散、(2)株式の相続税の負担、(3)資金調達が一般に挙げられています。
 平成20年には経営承継円滑化法が施行されました。その主な内容は、(1)遺留分に関する民法の特例制度、(2)事業承継時の金融支援措置、(3)相続税課税についての措置の3点です。

事業承継における問題点1 ~ 遺留分

  企業経営を行うは、株式会社などの法人を設立することが一般的です。この場合、企業の事業用資産(オフィスの土地・建物、預金、設備・機械など)の名義は通常は法人になっているでしょう。これら法人名義の資産については、たとえ代表者が死亡しても相続の対象にはならず、法人名義のままです(法人を設立する利点の1つですね。)。しかし、たとえば株式会社の場合には、会社の実質的な所有権ともいうべき株式というものが存在し、株式が代表者名義になっている場合(中小企業の場合にはほとんどの場合そうです。)には、その株式は代表者の個人資産として相続の対象になります。
 法人を設立せずに、個人で自営している場合には事業用資産の名義は法人ではなく、通常は代表者個人の名義であり、その他親族などの名義になっていることがほとんどです。この場合には、代表者が死亡すると代表者名義の事業用資産は相続の対象になります。
 株式や代表者個人名義の事業用資産が相続の対象となった場合、遺言書がなければ法定相続人が相続によって取得することになります。たとえば、妻と男子2人がいるケースだと、妻が2分の1、子がそれぞれ4分の1を取得することになります(特別受益などによる修正が加わります。)。遺言書がある場合であっても、法定相続人に法律上認められている遺留分によって、株式の一部や事業用の資産が遺留分権者に帰属することになる可能性があります。また、生前贈与によって株式や事業用資産を譲渡した場合であっても、遺留分によって同様の問題が起こりえます。
 そうすると、仮に長男を後継者として会社を譲りたいと思っていても、一部の株式や事業用資産が他の相続人(たとえば妻や二男)に散逸してしまいます。その結果、会社経営に支障を来す可能性もでてきます。また、株式や事業用資産の散逸を防ぐために、遺留分を主張する人に代償金を支払うことも考えられますが、そのために新たな資金調達の必要が生じてしまいます。生前贈与や遺言書によって、親族以外の者に株式や事業
 そこでこのような問題に対応するため、経営承継円滑化法では民法の遺留分制度の特例を認めました。
 具体的には、一定の要件を満たす中小企業の後継者が、(推定)相続人全員と合意をし、所定の手続をすることで、後継者に生前贈与された株式等を遺留分の対象から除外する、または評価額を予め固定する特例です。合意が必要であるなどの難点はありますが、経営者が生前にうてる手立てとしては有効な制度だと思われます。

事業承継における問題点2 ~ 相続税

  株式も立派な財産ですから、相続の際にはその価値に応じて相続税が課される場合があります。株式の価値は会社の純資産額を基本にして算定されるので、ある程度の規模の会社の場合には高額の相続税が課せられる可能性もあります。他方で相続によって会社の売り上げが上がるわけではありませんから、相続税の負担分だけ会社経営を圧迫することになってしまいます。ただでさえ後継者問題に頭を悩ます中小企業にとって株式の相続税問題は深刻です。
 このような株式の相続税問題に対処するため、経営承継円滑化法では相続税の一部猶予制度を設けました。すなわち、非上場株式の課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予される制度です。
 なお、会社・相続人・被相続人がそれぞれ満たす要件があったり、計画的な承継に係る取り組みを行っていることについて経済産業大臣の確認が必要であったり、5年間の事業継続要件など様々な要件を満たす必要があります。

事業承継における問題点3 ~ 資金調達

 相続に伴って発生する資金需要に対する金融支援策です。対象となる中小企業の代表者個人に対する貸付支援などが含まれます。
 相続時あるいは、遺留分の特例利用時の合意を行う際に、他の相続人らに株式や事業用資産承継の代償金を支払う必要が生じた場合などにこれが利用できれば助かります。

特別縁故者への財産分与

 相続が発生した場合に、相続人がいるのか明らかでない場合や相続人が存在しな場合には、被相続人(亡くなった人)と生計を同じくしていた者あるいは被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故のあった者は、家庭裁判所に相続財産の分与を請求することができます(民法958条の3第1項)。
 法律上、分与の申立は、特別縁故者であると主張する者が行うものとされており、申立には期間制限もあります(相続財産管理人による相続人捜索の公告の期間満了後3ヶ月以内)。
 分与の申立は、相続人の存否不明が確定しなければなりませんので、まずは、その確定のために相続財産管理人の選任手続きが必要となります。したがって、特別縁故者として財産分与を求める場合には、相続財産管理人の選任の申立を行う必要もあります。
 ご自分が、この特別縁故者にあたるのかどうか、あたるとしてどの程度の財産分与が見込めるのか等を判断するのは困難だと思われます。また、相続財産管理人選任の申立手続きや特別縁故者としての財産分与請求手続きをする際には申立書を作成する必要がありますので、専門家によるアドバイスを受けるのが望ましいと思います。
 ご自分が、特別縁故者にあたるのではないかと思われる方がおりましたら、お気軽にご相談下さい。

(弁護士費用)※各消費税抜
着手金 通常相続財産管理人選任と合わせて行いますので,別途いただくことはありません。
成功報酬 経済的利益の10%(税込11%)

内定取消

 昨今の不景気の影響で、学生がせっかく就職活動を頑張って内定を勝ち取ったにもかかわらず、会社の一方的な都合によって内定を取り消されたという話を耳にします。このような内定取消は、弁護士が介入することによって解決可能な場合があります。
 内定通知が出された場合、特別の事情がある場合を除いて、既に始期付き解約権留保付きの労働契約が始まっているとの判例があります。
 したがって、内定時にも労働法の適用があり、内定取消が、解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当といえない場合には、無効となります。
 例えば、他にもっと良い人が見つかったから内定を取り消したいというのでは客観的に合理的な理由はなく、内定取消は無効となるでしょう。他方で、内定者の病気・けがなどにより業務ができなくなった場合や、内定を出した当時から予測できなかった不況の深刻化により使用者の人員計画を大幅に変更せざるを得ない状態に至った場合などには内定取消も有効となり得るでしょう。
 無効な内定取消と考えられる場合には、裁判で、従業員たる地位を有することの確認を求めるとともに、違法な内定取消により損害を被ったとして損害賠償請求等をすることができます。

内容証明

 内容証明とは、文書の存在とその内容を郵便事業が第三者として証明する文書のことであり、法的紛争の解決・予防のためなどに用います。
 たとえば、貸金請求をしたいという場合に、法的措置をとる前に相手方に任意の支払いの機会を与えるべく、事前に内容証明を送付する、という形で用います。
 弁護士が内容証明を送付する場合、通常相手方からの任意の履行がなされなければ法的措置をとることが前提となっていますから、相手方に対して一定のプレッシャーを与えることのできる手段だといえます。

 また、内容証明を送付する場合、配達証明付で送付すれば、相手方に送付した書面の内容を証明する資料だけではなく、当該書面が相手方に配達された事実を証明する資料も手に入れることができます。
 このような性質から、内容証明は、当該文書が相手方に到達したことを証拠化しておく必要がある場合にも用います。
 具体的には、契約の解除の意思表示をする場合、消滅時効の援用の意思表示をする場合、賃貸借契約の更新拒絶の通知を大家が賃借人に送る場合、遺留分減殺の意思表示をする場合などに用います。

(弁護士費用)
1万円(税込1万1000円)~(標準5万円(税込5万5000円))

被害者支援

 法律は、犯罪の被害に遭われてしまった方のために、様々な制度を用意しています。
ここでは、その制度の一部をご紹介致します。

【加害者に対する損害賠償請求】

 犯罪の被害に遭ってしまった場合、心情面、経済面など、回復しなければならない被害は様々ありますが、現実的な問題として、経済的側面からの回復も考えなければなりません。
 その場合、加害者に対して、被った損害(精神的苦痛、治療費、修理費等)を賠償してもらうよう、民事訴訟を提起するなど、損害賠償請求を行使することが考えられます。
 また、民事訴訟を提起するのではなく、一定の場合には、下記のとおり、より立証の負担が軽い損害賠償命令制度が利用できる場合があります。

【損害賠償命令制度】

1 損害賠償命令制度とは?

 損害賠償命令制度とは、刑事事件の係属する裁判所が、当該刑事事件について有罪判決を言い渡した後、加害者に対する損害賠償請求についても審理し、賠償を命じることができる制度です。
 本来、損害賠償請求は金銭的請求、すなわち民事事件ですので、刑事事件とは別途審理されるのが建前ですが、犯罪被害者の方が刑事事件とは別の手続きで民事訴訟を提起した場合に比べ、刑事事件の記録を裁判所が職権で取調べを行うなど、犯罪被害者の方の立証の負担が軽減されるという効果があります。
 また、この審理は、原則4回以内の審理期日で終結されますので、通常の民事事件に比べ、簡易迅速性が保たれることも期待できます。

2 どのような場合に損害賠償命令制度利用できるのか?

 損害賠償命令制度を利用できる場合は、以下の犯罪の被害に遭われた場合です。

① 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(危険運転致死傷罪を含みます。)
② 強制わいせつ、強姦、純強制わいせつ、準強姦の罪
③ 逮捕及び監禁の罪
④ 略取誘拐、人身売買の罪
⑤ ②~④の犯罪行為を含む犯罪
⑥ これらの未遂罪

 ただし、過失犯(業務上過失致死傷、自動車運転過失致死傷など)や財産犯(強盗罪)の場合には、損害賠償命令制度を利用することはできません。

3 損害賠償命令制度はどのように利用するのか?

 当該刑事事件の審理を行っている地方裁判所に対して、「損害賠償命令の申立書」を提出し、申立てをすることになります。申立手数料は、請求額にかかわらず2000円で、このほか、3600円分の郵券が必要となります。
なお、この申立ては、当該刑事事件の弁論が終結するまでの間になされなければなりません。

4 損害賠償命令制度の利用を弁護士に依頼することはできるのか?

  損害賠償命令制度は、上記のように、犯罪被害者の方の立証の負担の軽減や、審理の簡易迅速性を確保することができる有益な制度ですが、申立書の作成や審理の手続きなど、法的知識が必要な局面は多くあるため、この制度の利用を考えている方は、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。
もちろん、損害賠償命令の申立てを弁護士に依頼することも可能です。その場合、弁護士の費用が別途かかります。

【被害者参加制度】

1 被害者参加制度とは?

 被害者参加制度とは、犯罪被害者の方が、一定の要件のもと、刑事裁判に出席し、被告人に対する質問を行うなど、刑事裁判に直接参加することができる制度です。
 この制度により、刑事裁判に参加することになった犯罪被害者の方を「被害者参加人」と言いますが、被害者参加人になると、以下のことができるようになります。

① 当該刑事裁判における検察官の権限行使に対し、意見を述べることができます。
② 公判期日(裁判の期日)に出席することができます。
③ 被告人に対して質問をすることができます。
④ 証人に対して尋問をすることができます。
⑤ 事実または法律の適用について意見を陳述することができます(被告人に対する量刑の重さ、いわゆる「求刑」に関する意見も述べることができます。)。

 なお、公判期日に出席する場合、加害者と同じ法廷に居合わせることになるため、犯罪被害者の方の心身状態を考慮し、一定の場合には、被告人や傍聴人との間に遮へい措置をとることもできます。

2 どのような場合に被害者参加制度を利用できるのか?

 被疑者参加制度を利用できる場合は、以下の犯罪の被害に遭われた場合です。

① 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
② 強制わいせつ、強姦の罪
③ 業務上過失致死傷、自動車運転過失致死傷の罪
④ 逮捕及び監禁の罪
⑤ 略取誘拐、人身売買の罪
⑥ ②~⑤の犯罪行為を含む犯罪
⑦ これらの未遂罪

3 被害者参加制度はどのように利用するのか?

 加害者が起訴された後、検察官を通じて刑事裁判への参加を申し出ます。

4 被害者参加制度を捜査機関から勧められたがどうしたらいいか

  捜査機関等から被害者参加を勧められ、参加を迷われる方が多くいらっしゃいます。被害者参加は、犯罪被害者の方が自ら直接裁判手続に参加することで、当該刑事裁判の帰趨を自分の目で見守ることができる面がある一方、加害者を法廷で目の当たりにする可能性があるなど、参加を即断できない面があることは否めません。
 もし、犯罪被害者の方で、当該制度の利用を迷われている方は、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。参加をした場合であっても、できる限り心身に負担のないような方法をアドバイスさせていただきます。
 また、被害者参加をした場合には、検察官の権限行使に意見を述べることなどができますが、そこではやはり法的知識が必要になる局面が多くあります。被害者参加人は、刑事裁判に参加するにあたり、弁護士に委託することができますので、ぜひ一度ご相談下さい。