依頼者Xさんは、長年、被相続人である妻Aと2人暮らしを続けていましたが、約3年前に被相続人Aが亡くなりました。
被相続人Aは、生前、消費者金融から数十万円の借入れをしていましたが、当時、Xさんはそのような借入れの事実を知りませんでした。
その後、Xさんは、自宅の固定電話に、上記金融機関から連絡があったことで、被相続人Aが借入れを行っていたことを知りました。
そして、Xさんは、金融機関から「相続したのであれば、債務を支払ってほしい。」と言われましたが、返済資力にも乏しく、対応に苦慮してしまったため、当事務所にご相談に来られました。
被相続人が亡くなった約3年後に相続放棄が認められた事例
- 性別:男性
- 依頼者情報:年代:70代 続柄:夫
被相続人Aによる借入れの事実など一切知らず、返済資力もなかったことから、支払いに応じない手段はないかとご相談されました。
相続が生じた場合、原則として、相続が開始したこと等を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に対し、相続放棄の申述をしなければなりません(このような期間を、「相続放棄申述期間」と言います。)。
もっとも、例外的に、相続放棄申述期間を伸長できる場合が存在するため、弁護士は、そのような申述期間の伸長が認められる場合にあたることを主張して、裁判所に相続放棄を認めてもらうための活動を行いました。
本件では、主に、被相続人Aには生前、プラスもマイナスも含め財産を有している様子もなかったこと、依頼者Xさんは、前記のような電話に出て初めて、被相続人Aの債務の存在を知るに至ったこと、被相続人Aの生前から、依頼者Xさん自身は、郵便物を適正に管理する習慣がまったくなかったこと等の事情が存在したため、そのような事情を説明し、依頼者Xさんがその時点まで、債務の存在を知らなかったことには、やむを得ない事情があったと言える旨の主張を行ったところ、無事、申述期間の伸長を認めてもらい、相続放棄を受理してもらうことができました。
その結果を、前記金融機関に通知したところ、今後請求は行わないという回答を受け、解決に至りました。
相続放棄は、前記のとおり、原則としては3か月間の制限期間内に行わなければなりませんが、ケースによっては、やむを得ず、その期間内に申述をすることができないといったケースもございます。
そのようなやむを得ない場合には、本件のように申述期間を伸長してもらうよう、裁判所に働きかけることが必要になりますが、どのような説明等を行えばよいかを検討するためには、一定の専門知識が必要になります。
身近な方がお亡くなりになった際に、法的手続きで慌てないように、ぜひお気軽に、相続問題に強い川崎ひかり法律事務所にご相談いただければと思います。
その他の解決事例
相続財産である不動産に,相手方を債務者とする抵当権が設定されていたが,不動産を共同で売却することとし,依頼者は抵当権の負担を受けない金額を取得した事例。
遺産分割調停- 性別:女性
- 依頼者情報:年代:60代 続柄:長女
被相続人A(父)の相続が発生しました。相続人は,依頼者(Xさん)と弟のYさんの2人です。相続財産は,不動産のみであるところ,Yさんが銀行からお金を借り,その債務を被担保債務とする抵当権が設定されていました。
公正証書遺言の無効を争い、依頼者の意向を反映した形での訴訟上の和解の成立に至った事例。
遺言無効- 性別:男性
- 依頼者情報:年代:60代 続柄:長男、長女等
生前、被相続人Aは遺言を残さないと言っていたにもかかわらず、相続人のうちの一人に極端に有利な内容の公正証書遺言が作成されているという状況でした。
残りの相続人は、あまりにもおかしいのではないかと、上記相続人に対して修正を求めていましたが、話を聞いてもらえないでいました。
遺産に不動産がある場合に遺留分侵害額の請求をして金銭解決した事案
遺留分- 性別:女性
- 依頼者情報:年代:60代 続柄:被相続人の子
幼い頃に離ればなれになって長年連絡をとっていなかった父親が亡くなり、父親の遺産が遺言により、全て第三者に遺贈されてしまっていることが判明した状況でした。
父が亡くなり、相続人の兄との協議ができなかったので、遺産分割調停を経て、依頼者主張の分割案で遺産分割の審判が下された事例
遺産分割審判- 性別:男性
- 依頼者情報:年代:60代 続柄:二男
父Aさんが亡くなり、相続人は依頼人のXさん(二男)と兄のY(長男)さんでした。
しかし、XさんとYさんは、折り合いが悪く、連絡がとれない状況でした。
被相続人名義の不動産を処分することにより、親子間の相続を解決した事例
- 性別:女性
- 依頼者情報:年代:60代 続柄:妻
夫Aさんが数十年前に亡くなり、遺産分割も特になされず、不動産が亡A名義のままになっていました。妻Xさんは、不動産が老朽化したため、処分しようとしたところ、不動産の名義がAさんのままであり、そのままでは処分できないことに気付き、相談にいらっしゃいました。なお、Xさんには、Aさんとの子のY1さんとY2さんがおりました。

