夫Aが亡くなり、それまでA所有のマンションで、Aと同居していた妻Xさんからご相談を受けました。Aの遺産としては、上記マンション以外に、多少の預貯金が存在するのみでした。また、Aの相続人としては、Xさんのほかに、Xさん・A間の子Bと、AとAの前妻Cとの子であるD及びEの3名が存在しました。B~Eのいずれも、Xさん・A夫婦とは長年疎遠な状態でした(そのため、相続開始時点においては、そもそもB~Eの正確な連絡先すら分からない状態でした。)。
配偶者居住権を主張した結果、自宅マンションを確保できた事例
- 性別:女性
- 依頼者情報:年代:60代 続柄:妻
Xさんとしては、引き続き、上記マンションへの居住を続けたいとのご希望であり、また、遺産相続の話をするにしても、疎遠な親族との直接のやりとりは避けたいとのお考えで、ご相談に来られました。
弁護士は、そもそも連絡先不明であった上記B、D及びEの連絡先を調査し(弁護士であれば、事件を解決するために、戸籍等を取得し、他の相続人の所在調査を行うことが可能です。)、判明した連絡先から、それぞれの相続人と接触を行いました。
はじめに、Xさんの実子Bは、Aの事情にご配慮いただき、相続放棄をしていただくことになりました。
次に、弁護士は、D及びEとも接触をし、交渉を行いました。D及びEは、マンション自体を使用する意思はないものの、当初、その財産的価値を金銭で取得することを希望していました。弁護士は、Xさんがマンションの所有権を取得するためには、高額な金銭(代償金と言います。)を支払わなければなりませんが(そうなった場合、Xさんには、代償金を支払えるだけの資力はなかったため、マンションを売却するなどして、金銭を用意する必要が生じてしまいます。)、Xさんの居住を確保するためには、必ずしもマンションの所有権を取得する必要はなく、居住権を取得すればよいことから、配偶者居住権の取得を主張するという方針をとることとしました。
そして、弁護士は、上記のような方針のもと、(詳細は省きますが、)粘り強く交渉を続けたところ、Aの遺産に対して、そこまで強い執着がなかったためか、最終的にD及びEは、いずれもBと同様に相続放棄をするということになり、Xさんは、高額な代償金を負担することなく、居住用マンションを確保することができました。
配偶者居住権とは、近年の民法改正により新設された制度で、その成立要件などは、民法で細かく定められていますが、これを相続の場で有効活用できれば、配偶者が亡くなられた場合でも、自己の住環境を守ることができるかもしれません。
相続の際に慌てず、適切に自己の権利を守るためにも、ご自身で抱え込まず、できるだけ早めに、相続問題に強い川崎ひかり法律事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。
その他の解決事例
亡母名義の不動産の住んでいた長男が死亡したが、長男に多額の負債が存在する相続において、財産調査から不動産売却まで迅速に処理をして清算した事例。
遺産分割遺産調査- 性別:女性
- 依頼者情報:Xさん・長女(70代)
亡母名義になっている不動産に長男が住んでいたが、長男が自宅で死亡しました。長男には子供がいたものの絶縁状態であったため、妹である長女Xさんに死亡の連絡がありました。もっとも、亡くなった長男には数百万の負債があり、不動産以外には目立った財産がない状況でした。亡母名義の不動産を売却しないと長男の負債が清算できませんでしたが、何から手を付けてよいかわからない状況でした。
行方不明の相続人を探し出して遺産である不動産を換価分割した事例
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後見人として遺産分割を行った案件
成年後見遺産分割- 性別:女性
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私がXさんの成年後見人に就任する前に、Xさんのお父様Aが亡くなり、Xさんと兄Yさんが相続することになりました。亡父Aの遺産は預貯金の他、不動産がありました。もっとも、Xさんは既に判断能力を欠く状況にあったため、遺産分割協議をすることができない状況でした。
相続人の一人が被相続人の預金から私的な出金を行っていた事例
使途不明金遺産分割遺産調査- 性別:男性
- 依頼者情報:年代:50代 続柄:長男
被相続人Aが亡くなって、その相続人であるXさん(長男)とYさん(長女)の2名が遺産相続をめぐって争いが生じていた状況で、Xさんがご相談に来られました。
被相続人Aは、生前、Yさんと長年同居していて、亡くなる数年前からは、金銭管理をほとんどYさんに委ねている状態でしたが、具体的にYさんがどのような金銭管理等を行っていたのか等については、Xさんからは一切分からない状態でした。
行方不明であった共同相続人を早期に発見して、主な遺産であった不動産の共同売却を円滑に実現して解決できた事案
遺産分割- 性別:男性
- 依頼者情報:年代:80代 続柄:被相続人の子
依頼者Xさんが父親Aから相続した居住不動産を売却して施設に移転しようとしていたところ、不動産が居所も連絡先もわからない他の相続人Yとの共有となっていたことから、不動産売却ができない状況でした。

