裁判官も悩む,高次脳機能障害の等級認定について |川崎で交通事故に強い弁護士への相談

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裁判官も悩む,高次脳機能障害の等級認定について

1 高次脳機能障害は外部から分かりにくい

交通事故によって脳が損傷すると,認知や言語,情動・人格などの能力である「高次脳機能」に障害が生じ,「うまく言葉にできない」,「なかなか覚えられない」,「怒りっぽくなる」等,さまざまな症状が出ることがあります。これらを総称したのが「高次脳機能障害」です。

高次脳機能障害になった場合の障害等級は,1級,2級,3級,5級,7級,9級に分類されます。このうち,5級,7級,9級の基準は,以下のとおりです。

 

5級 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

7級 神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの

9級 神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当程度に制限されるもの

 

このように基準が抽象的なのもありますが,自賠責調査事務所の事前認定によって5級,7級,9級の等級認定を受けていても,短時間面談しただけでは障害があるということすらも分からず,ましてや等級の認定などはかなり困難と言えます。

 

2 保険会社の対応

高次脳機能障害の有無や等級については,同居の家族以外の第三者から分かりにくいため,保険会社の担当者などは被害者本人と接した際の状況から,後遺症の存否や程度を疑って,著しく低い損害賠償金(示談金)を提案してくることがあります。

この時点で弁護士に相談していただければ,その提示額が著しく低いことに気付き,一般的には弁護士に依頼して交渉が開始されることになりますが,通常の後遺症であれば,弁護士が介入した時点である程度折り合いが付く場合が多いと言えますが,高次脳機能障害による後遺症の場合には,保険会社自体が被害者と面談や電話などで話した感想から,後遺症の存否や等級,労働能力の喪失率に対して疑念を持っている場合があることから,一筋縄ではいかない場合が多く,訴訟にまで発展するケースが散見されるところです。

 

3 訴訟になったらどうなるか

(1)交渉段階

最近実際にあった事例を簡略化して説明します。訴訟提起前の交渉では,保険会社からは自賠責調査事務所の認定どおり後遺障害等級7級を前提に労働能力喪失率(7級の基準では56%となります。)で調整するという提案を受けておりました。なお,私が介入する前は労働能力喪失率を20%で算出した示談金の提案を受けており,私が介入した後は45%で算出した示談金の提案を受けていました。

(2)訴訟第一審(地方裁判所)

労働能力喪失率は,後遺障害によってどの程度収入が減少するのかという割合になるので,10%違っただけでも損害額は大きく変わることになります。したがって,このような保険会社の提案を受け容れることはできませんので,依頼者の方と相談して訴訟を提起することになりました。

訴訟提起後の相手方の主張は「後遺症なし」というものであり,全面的に後遺障害の有無を争うことになり,相手方からは,専門医の意見書や行動確認調査報告書(いわゆる探偵による行動調査で,依頼者が1人で出かけられるか,1人で買物ができるかなど数日間に渡って撮影されておりました。)などが提出されました。

第一審裁判所の和解案は,高次脳機能障害について9級を前提としたものでしたが,等級が2等級下がると損害額も大幅に下がることになることから,和解成立には至らず,結局,判決となりました。なお,交通事故事件の場合,裁判所の和解案は基本的には判決の内容を前提として出されることから,裁判所の和解案が出た段階で和解が成立するケースがほとんどです。

予想通り,第一審判決の内容は,和解案と同様,後遺障害等級9級を前提としたものでした。

これに対しては,当事者双方とも納得せず,双方から東京高裁に控訴提起されることになりました。

(3)訴訟控訴審(高等裁判所)

高裁では,期日の1回目で結審し,判決の言い渡し日が決まり,判決言渡し日までの間に和解期日が指定されました。通常,1回結審の場合,第1審の判決内容から変更されることはないので,1回目で結審すると言われたときには絶望を感じました。

ところが,高裁での合議(高裁は裁判官3名で構成されています。)の結果,何と,1審の判決とは異なり,後遺障害等級7級を前提とする和解案が提示されました。

これには,代理人の私もそうですが,相手方の代理人弁護士の先生も仰天されたと思います。

以上の経緯から,依頼者の方の所期の目的は,完全にではないですが実現され,高裁で和解成立によって終了しました。時間も大分かかりましたが,依頼者の方にも大変喜んで頂けました。

これを踏まえて,やはり高次脳機能障害の等級認定は,裁判官ごとにもバラツキがあり,その判断は難しいということを改めて感じた次第です。

 

4 最後に

 

このように高次脳機能障害の事案は,かなり難易度が高いと思われます。早期に高次脳機能障害に精通した川崎ひかり法律事務所の弁護士に相談されることを強くオススメします。

 

この記事を監修した弁護士

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