因果関係ってどうやって判断されるの(東京高裁平成30年7月17日判決を題材として)? |川崎で交通事故に強い弁護士への相談

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因果関係ってどうやって判断されるの(東京高裁平成30年7月17日判決を題材として)?

1 因果関係とは?

因果関係とは,交通事故で言えば,事故があったからこそ,損害が発生したと言える関係のことを言います。交通事故における損害賠償請求では,事故と損害との間に,因果関係がなければ認められないということになります。

2 東京高裁平成30年7月17日判決

因果関係に関して,興味深い判決が出ました。東京高裁平成30年7月17日判決です。

3 事案の概要及び争点

本件は,糖尿病の既往症を持つ被害者が,事故により,軽症の外傷性視神経症を発症した結果,左眼を失明し,これにより,極端に運動低下に陥り,糖尿病が悪化し,右足膝下切断となってしまったという事案です。被害者は,事故前から,糖尿病に起因する網膜剥離により,右眼を失明し,左眼も視力低下が認められていました。

争点は,

  ①本件事故と左眼失明との因果関係

  ②本件事故と右膝下切断との因果関係でした。

4 東京高裁の判断及びその意義

これら争点に対し,東京高裁は,①・②のいずれについても因果関係を認めました。

この判決の意義は,②について,因果関係を認めたことにあります。被害者に既往症があることによって,因果関係が問題となる場合は,通常,①のように,事故により直接既往症が憎悪したことが問題となるケースが多いです。しかし,本件は,事故により直接生じた損害は外傷性視神経症であるにもかかわらず,最終的には,既往症が憎悪した結果,右足膝下切断という損害をもたらしたという認定をした点で,被害者の救済を図った判決であったと評価できます。

5 素因減額

但し,本判決は,①につき5割,②につき8割の素因減額を認めています。かなり大幅な減額ですが,損害の公平な負担という見地からは致し方ない判断と言えるでしょう。

6 因果関係に疑義があっても諦めないで!

本件のように,外傷性視神経症→左眼失明→運動機能低下→右足膝下切断という複雑な経路を辿った事案でも因果関係は認められています。これって因果関係があるのかな?という事案でも勇気を持って,請求していきましょう。因果関係に疑義がある場合は、是非、川崎ひかり法律事務所にご相談ください。

 

この記事を監修した弁護士

坂本 正之(神奈川県弁護士会所属)

市民のために開かれた法律事務所を目指して、当事務所を設立しました。法律事務所の門を叩かれる方は、大きな不安を抱えている方ばかりです。親身なリーガルサービスにより、そのような方々の支えとなり、1つでも多くのトラブルを解決していきたいと思っております。

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